KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

通せんぼクイズ

 アメリカ横断ウルトラクイズの通せんぼクイズというのは、準決勝で何度か行われたクイズ方式で、第5回(1981年)からはじまった。この最初に行われた第5回の通せんぼクイズが名勝負となる。

 

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 通せんぼクイズというのは、まず全員で早押しクイズをし、3ポイント先取したものが、通過席に行く。他の者は通過させないように、早押しクイズに正解して、阻止しなくてはならない。通過席にいる者が、その早押しクイズに勝つと勝ち抜けである。

 

 記念すべきはじめての通せんぼクイズは、ノックスビルのグレートスモーキー山脈国立公園というところで行われた。準決勝なので4人のうち2人が決勝へ行き、2人が脱落ということになる。

 準決勝であるわけだから、残った4人というのは相当な実力者であることはまちがいない。だがこの顔ぶれには伏線が前回の準々決勝にあった。場所はメンフィス。クイズ方式は3択クイズである。

 クイズが好きなヒトならわかるだろう。3択クイズというのは、知識だけでは勝つことがむずかしい。第六感と言ってしまうと、コトバとして簡単になってしまうが、知識だけではほんとうに勝てない。ライバルとの第六感どうしの闘いなのである。

 ウルトラクイズの3択クイズは特にそうで、3つ答えを出されても、これが正解だと己の知識を以て、確信のある答えを選ぶというのはむずかしい。直感で3つの中から1つを選ばないといけない場合が多いのだ。

 このメンフィスの3択で落ちたのが、落合さんという慶応大学の学生さんと、道蔦さんという学生クイズ王だった。3択クイズの内容は、メンフィス出身のエルビス・プレスリーにかんするもの。これこそまさに知識ではどうにもならない。

 たとえば問題の内容はこうだ。

「エルビスは1967年4月30日、ラスベガスでプリシラと結婚しました。その直後の記者会見で結婚した理由を聞かれた彼はなんと答えたでしょう。」

①独身だったから
②マリリン・モンローが死んじゃったから
③エルビス2世が欲しかったから

※日本テレビ発行の問題集より引用

  
 答えはここでは教えないので、よかったらインターネットを使って調べてみるといい。まず出てこない。英語ならまだ出てくるかもしれないが。こんな問題ばかり出されたら、慶応の学生も学生クイズ王も普通のクイズ番組より落ちる確率は高くなるだろう。

 しかしそれもまたウルトラクイズなのである。もし道蔦さんや落合さんが準決勝にあがってきたら、どうなっていたであろう。ヘタすると簡単に勝負が決まってしまったかもしれない。

 そして通せんぼクイズはなんのインパクトも残せず、以降の回では採用されなかったかもしれない。もちろん歴史にイフはないのだけれども、つい頭の中で想像してしまうのだ。

 通せんぼクイズは名勝負製造機ではあるけれども、結局その勝敗はクイズの実力で決まる。クイズの実力が何かについては、クイズ好きは誰もが一家言持っているだろうが、言わせてもらえば、知識量と押す度胸である。だからこそ通せんぼクイズは、準決勝のクイズ形式として、説得力あるのだ。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。