だいぶ前のハナシだ。まだ二十代前半だったころ。合同コンパみたいなものに参加した。員数合わせで呼ばれたので、まあ空気を壊さないようにということで、仏壇の鈴のように座布団の上で、おとなしく座っていた。
しばらくして、どのようなタイプのヒトが好きかというハナシになった。そのときに女性陣の1人に、「プロ野球選手で近鉄の加藤英司が好き」というヒトがいた。空気がとまった。おそらくはみんな加藤英司が何者なのか、ピンとこなかったのであろう。
そういう不思議なオンナって、たしかに存在する。空気がとまるのはわかりきっているのに、そういうことを言ってしまう、不思議なオンナ。しかも阪急じゃなく2年しかいなかった近鉄か?みたいな。ためしに他にどんなオトコが好みか聞いてみた。
「椎名誠」
なるほど。そういうことか。カノジョは、ホモサピエンスになりきれていない顔のオトコが好きだったのだ。そういうオンナもたしかに存在する。けっこうな割合で。まあそれだけのハナシだ。
ちなみに加藤英司は1年間だけ巨人にいたことがある。あくまで個人的見解ではあるが、彼ほどジャイアンツのユニフォームが似合わないヒトはいない。逆に在籍したパリーグ3球団のユニフォームはすごくよく似合っていた。
バリバリに活躍していたときの阪急ブレーブスのユニフォームはもちろんのこと、最晩年の枯れた味わいの加藤英司に、南海ホークスの緑のユニフォームはとてもよく似合った。そしてその緑のユニフォームで2000本安打達成。有終の美を飾るとはまさにこのことだろう。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。