KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

お笑いスター誕生紳士録【その2・山田康雄】

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 日本テレビ「お笑いスター誕生!!」を語るうえで、やはりこのヒトの存在は外せない。中尾ミエとともに、6年半の番組放送期間のあいだ、ずっと司会をつとめた山田康雄だ。

  山田康雄といえば、ルパン三世にクリント・イーストウッド。その吹き替えが有名だ。そのインパクトが強すぎるし、俳優であることに誇りが強いことで有名なので、司会というイメージがわきにくいかもしれない。

 しかしこのヒトの司会は、ひとことで表すなら軽妙洒脱。お笑い畑のヒトではないので、芸人に対しても毒のある”イジり”はしない。お笑い的には芸人にとっておいしくない部分もあるかもしれないが、その分目に見えにくい人間的な魅力を引き出していた。



 また出演者がネタに入るまえに、出囃子があってそこに山田びナレーションが入るのだが、この軽妙なスピード感がすばらしい。出演者の出番前の緊張感と心臓の鼓動が伝わってくるようだ。

 そして出演者のネタ中にときおり見せるこのヒトの笑顔には、成功を目指して戦う挑戦者にたいする愛と優しさに満ち溢れていた。それはまるで、親戚の集まりで子どもが頑張って余興をやっている姿をみつめるおじさんのようだった。

 この番組が終わって30年経ったいまも、その姿は目に焼きついている。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。

 

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