少年だったころ、どこかで聴いた曲で、歌の題名も歌い手の名前もわからないけれども、メロディーラインだけが印象に残っている歌というのがある。詳細は知る由もない。
そのメロディーラインの記憶というのは、生活におわれる毎日のなかで、ふだんは脳裡の奥にしまわれている。もはやなにかのきっかけがなければ、ふたたび現れることはない。
ある一曲にかんして、そのきっかけが先日あった。ラジオの音楽番組で流れたのだ。曲が流れ終わったあと、曲名と歌手名が紹介された。曲名は聞き取れたのだが、歌手名があやふやだった。
だがいまは便利な時代になったものだ。曲名だけで検索しても、ちゃんと正しい歌手名が出てくるし、YouTubeでもう一度、動画つきで聴くことができた。曲名も歌手名もやはり初耳であった。
この柴田まゆみさんという歌い手さんは、ヤマハのポピュラーソングコンテストに入賞し、この「白いページの中に」という歌で昭和53年にレコードデビューしたのだが、この1曲を出しただけで引退されたのだとか。どうりで名前を知らないわけだ。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。