KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

マクドナルドのハンバーガーに夢があった時代

マクドナルドのチキンナゲットに異物混入 

 日本マクドナルドによりますと3日、青森県三沢市の店舗で「チキンマックナゲット」を購入した客から「中にビニール状のものが入っている」と連絡があり、店で調べたところ、商品の1つに異物が混入していた状態が確認されたということです。会社は現在、詳しい原因を調査していますが、ほかの商品にも異物が混入しているおそれがあるとして、この商品と同じ日にタイにある同じ工場で作られたチキンナゲットについては全国の店舗で販売を中止することになりました。




いまの若いひとにはわかるまい。
昭和48年生まれの少年にとって、マクドナルドのハンバーガーは高嶺の花だったのだ。 
まだ牛肉が輸入自由化する前の話である。
当時はマクドナルドのハンバーガーは1個200円、ビッグマックは300円だった。

昭和53年ごろは日本人ひとりあたりの1日の牛肉摂取量は6グラムだったそうな。
そういえばあのころのわが家のすき焼きも豚肉だった。
牛肉なんていうのは想像上の食べ物だった。
アニメとかに出てくる金持ちの食べるもんである。 

フォークとナイフを使って血のしたたるステーキを食べているイメージ。
大きなテーブルを囲んで上品そうなお父さんが、上品そうな子どもに、
「どうだ。勉強は進んでいるか?お前にはゆくゆくはわが財閥の後継者になってもらわなくてはならない。」
なんていいながら食べている。

また当時のマクドナルドのCMも独特の世界観をもっていた。
赤い髪の不気味なピエロが魔法かけていたりする。
世界のことばマクドナルドとか歌っているのだが、あきらかにその世界に自分はいない。
そもそも当時住んでいた千葉市埋立地にある団地の近くにマクドナルドがなかった。

だがいつしか牛肉は手の届くものになっていった。
マクドナルドも増えていった。
そしてハンバーガーも安くなっていった。
しかし次第にCMであの赤い髪のピエロを観る機会が少なくなった。

ビックマックポリスなんてまったく見かけなくなってしまった。
マクドナルドそのものが、下界に降りてきすぎたのだ。
そして安っぽいイメージになってしまった。
安っぽくなると、商品も安くしないといけないから、賃金の安い外国で食材をこしらえることになる。

そして異物混入。
夢の世界ははかなく崩れてしまった。
寂しい話だ。
まあだからといってあのころに戻りたいわけではないのだが。