KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

55年前の学習日本地理事典

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10年経つと無用の長物になってしまうが、55年経つとそれは、あじわいぶかい物になる。古本屋でみつけた「学習日本地理事典」という本。昭和35年刊行。昔ながらの古本屋に行くと、時間をかけていろいろ物色するのが好きなのだが、この本も隅っこに埋もれていたのを引っぱりだして購入した。


ねだんは100円って書いてあるけどいいのか店主。そんな心配もよそに、店主は無愛想に紙袋に本をつめていた。古本屋の店主というのは変なひとがおおい。すくなくとも愛想のいい古本屋の店主ってあまりみかけない。無愛想にちゃんと100円で売ってくれた。 


やはり”昔はこうだった”という今の本よりも、”今はこうだ”というむかしの本のほうが、情報がシンプルでわかりやすくおもしろい。昭和30年代の編集者は、カラー写真が使えないどころか、白黒でさえも写真の量が少ないので、文字でどうにか伝えようと苦労しているのがなんとなくわかる。


まだパラパラとしかみていないのだが、興味深いところをみつけた。日本の畑作というページのムギという項目。オオムギは東日本に多く、とくに関東地方だけで、全国の半分以上の70万トンがとれます。と書いてある。


いま現在は全国で作られているオオムギは20万トン弱だから、ずいぶんと様変わりしたものだ。もっと驚くのが、小麦の55年前の生産量を都道府県別で比べると、茨城・埼玉のワンツーフィニッシュだったのだ。こうしてみると、ほんとうに日本はこの50年で変わった。とくに関東地方は。