KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

キリギリスニンゲンだがお前のようなアリニンゲンにケンカでは負けない

 見に覚えのないことで、職場であからさまにケンカを売られている。すれ違うときに挨拶してシカトされるぐらいならまだいい。声をかけたときに挑発的な態度をこちらに向けてくる。どうやらこちらを見下しているもようだ。

 あっちはデスクワーク、こちらは肉体労働。どんなに職業に貴賎はないとはいっても、そんなものは理想論。大きな社会であれ、小さな社会であれ、貴賎を区別するニンゲンなんてどこにでも存在する。そして職場などにおいて貴賎を区別するニンゲンというのは、たいていは仕事にしかアイディンティティを持てないニンゲンなのである。

 どれだけ相手に非があろうとも、職場という社会においては、仕事を長年続けているという実績が正義になる。となると、こちらは反社会的存在として、己のプライドをかけて刺し違える覚悟というのが必要になってくる。

 職場で誰かに話すつもりはない。あくまでケンカをするなら一対一だ。それが流儀だからである。自分からは肉体的暴力はふるわない。ほんとうにガマンできないときが来たら、口頭であらんかぎりの挑発的言葉を投げかけて、相手が殴ってくるのを待つ。

 相手が殴ってきたら受け止めて、倍返しだ。その代わり最初に殴られてケガをしても、相手の責は問わない。 肉体労働者として、デスクワークのニンゲンに見下されることはガマンならない。時にニンゲンはクビとプライドをかけて戦わなければならないときもある。