KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

野球が好きです。勝っても負けても野球は楽しいです。(木村拓也)

日本テレビ「24時間テレビ」より


  偶然にテレビをつけてみたら、ちょうど元広島カープにいた木村拓也さんの特集をやっていたよ。早いものでもう亡くなってから6年経ったんだね。日本テレビだから、元巨人であることが協調されていたけど、俺にはカープの選手という印象が強いね。

 けれども実は、プロ野球選手としてのスタートは日本ハムだったんだよ。古いプロ野球ファンには懐かしく聞こえるだろう、ドラフト外での入団でね。ドラフト外ってことは、ドラフト会議で指名されなかったわけで、最初はさほど期待されなかったんだろうね。

 最初は強肩を買われ、キャッチャーだったのだけれど、その後はいろんなところを守ってね。足も速いしスイッチヒッターだったから、重宝されたのだろうよ。そこから頭角をあらわしたわけさ。

 歳が俺とおんなじでさ。一つ下ならイチローとか松井とかいるんだけど、同い年でプロ野球選手として活躍したヒトが少なかったからさ。いつも注目していたんだよね。やはり他の選手より感情移入しちゃうよね。

 今回のコトバは、ヒーローインタビューでのものだけど、このコトバが示すとおり、明るいキャラクターの選手だったよ。結局は日本ハムー広島ー巨人と渡り歩いて18年現役で活躍して、引退後に巨人のコーチになったんだけど。

 まさかあんなことになるとは思わなかったよ。ニュースで第一報を聞いたときに、ウソだろって思ったもの。まさか練習中に倒れるなんてさ。それから5日後に帰らぬ人になってね。

 強靭な肉体を持っていた自分と同い年のプロ野球選手が、こんなにあっけなく亡くなるなんてね。命ってなんなのだろうって、つくづく考えたよ。この前に俺、弟も亡くしていたので余計にね。

 残された家族はカレの遺産を切り崩しながら、カレの現役中に建てた広島の家で暮らしているそうだよ。上の息子さんは県立廿日市高等学校というところで、野球をやっているんだってさ。

 なんかどっかで聞いたことのある学校だなと思ったら、そうだ。あの山本浩二の出身校じゃないか。子供向けの野球百科みたいなので昔読んだわ。無名校だったから、甲子園に出られなかったみたいな話を。

 でもこれはなにかの運命かもしれないよ。あのミスターカープと同じ高校だなんてさ。お父さんだってドラフト外で入った選手なのだから。もしかしたらプロ野球選手になって活躍できるかもしれないよ。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、俺は君の傍にいる。