朝日文庫「田舎暮らしに殺されない法」より
俺が高校生のころにカレの本に出会い、だいぶ時が経ったが、いまこうして読んでみると、丸山健二というヒトはブレていない。エッセイで書いていることは、当時とほとんど変わらないんだ。
だいたい核になっているのが、
・男は自立しろ
・酒やタバコは止めろ
・田舎の住民にたやすく心を開くな
以上3つさ。
”田舎暮らしに殺されない法”なんていささか物騒な題だが、内容もかなりのものだ。生半可な気持ちで読んだら、田舎暮らしを志すヒトは幻滅してしまうかもしれないね。むしろするな。
なんでカレがここまで田舎暮らしの厳しさを説くのか。それはカレの故郷であり、今も居を構えている信州の環境の厳しさがあるとおもうね。信州のヒトってなんでイナゴとかハチノコなんて食うのか考えたことがあるかい?
うまいから食うわけじゃない。むかしはそれを食わざるを得なかったからさ。それがいまも食文化として息づいているんだ。いまと違って高度成長期前の信州は山に囲まれた平地の少ない、そして冬は雪深い閉鎖的な厳しい場所だったわけさ。
だから田舎が田舎、全部がカレのいうことにあてはまらないというのは事実さ。もっと優しいおだやかな環境だってあるはずだよ。でも田舎の閉鎖的な部分という面で、カレの言葉を知っておくのは有効だとおもうよ。
ちょっと今回、この本で気になったコトバがあるので、2回にわけよう。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、俺は君の傍にいる。