角川文庫「わしらは怪しい探検隊」より
そのむかしは、それこそ小学生のころは、毎年キャンプに行っていたんだよね。学童保育に通っていたときとか、ボーイスカウトをやっていたときとか。それが社会人になったいまは毎日の生活におわれているうちにいつのまにやら夏が終わっているんだよ。
自然のゆたかな場所でのテント生活で早朝に目が覚めて、朝もやのなかで鳥やヒグラシの声を聞く。それがたまんなく好きでね。でもそんなことを思い出しているうちに、やはり夏が終わっているんだよ。
もう時間の流れがあまりにも速すぎて、いつの間にか気づかぬうちに死んじゃうんじゃないか俺。その思い出って実は”走馬燈”なんじゃないかな。なんてくだらないことを考えているうちについ手にとって読んでしまうのが、「わしらは怪しい探検隊」なんだよね。
椎名先生の文章もいいけど、やはり沢野ひとし画伯の絵がまたいいんだよね。子どものころに書いていた俺の落書きによく似てるんだ。ってなに失礼なことを書いているんだまったく。ほんとに画伯の絵は好きだな。
この本を読んでいると、俺も東ケト会のドレイやりてえーって、千葉の稲毛海岸で草刈正雄の声マネで叫びたくなってしまうわけだよ。で、キャベツ3玉メンタマ17個を使った焼きそばが無性に食べたくなってしまうわけだよ。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、俺は君の傍にいる。