KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

ユーモラスを鉄仮面で隠した男【加藤初】

 この歳になってくると、ふとしたときに、まだ若いのにという訃報に接することが多くなる。じぶんが少年だったころ活躍していたスポーツ選手の場合だと、その強健ぶりが目に焼きついているので、感慨深さもひとしおだ。

 

 


加藤初1983・85年


 加藤初さんは巨人のピッチャーで、エースというわけではないけど堅実に活躍したという印象が強い。でも最初に入団したのは、西鉄ライオンズ(現・西武)だった。これは昭和40年代後半うまれのプロ野球好きが意外と知らないことだったりする。

 似たようなパターンで、阪神で活躍し監督にもなった真弓明信さんも、実は最初に入団したのは、西鉄ライオンズだったりする。どちらも若いうちにトレードで移籍して、その先で活躍したものだから、おのずとそうなってしまうのだ。

 加藤初さんは、鉄仮面といわれるほどのポーカーフェイスなヒトであったが、そのピッチングフォームは豪快かつしなやか。非常にカッコよかった。ケガや右肩の血行障害に悩まされながらも19年間プロで活躍した。

 そんなカレのどこがユーモラスなのか。あるときの選手名鑑に、あの鉄仮面の顔写真があって、なおかつその下の趣味欄のところに、”ファミコン”と書いてあったのだ。あの顔でだ。ドカベン香川ではない。加藤初だ。

 あそこからマンガなどで、ギャグにされるようになったのではないだろうか。巨人の選手なのに電車通勤とか、あの顔との落差がポイントとなりしみじみさが増してくる。味わい深いヒトだった。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。