子どもの時分、この歌を聴くと怖かった思い出がある。なにかこう子ども心に”老人と子供のポルカ”という歌には不安をつのらせるなにかがあったのだ。歌声なのかメロディーラインなのかはわからないけれども。
歌の途中に女の子の「たすけてー」という声が入るのだが、てっきり女の子はこの老人から助けてほしいのだと勘違いしていた。それぐらい当時は、この老人が妖怪じみてみえたのだろう。
このネジが一本外れた元・ヤクルトの関根監督…元阪急の上田監督か…どっちでもいいけど、みたいな老人は、左卜全という俳優さんで、数々の黒沢映画などに出演した。このヒトを登用した当時の音楽プロデューサーはすごいとしかいいようがない。
ちなみに一番の歌詞にでてくる”ゲバ”というのは”学生運動”、”ジコ”は”交通事故”、”スト”は”ストライキ”のことで、これらの犠牲になるのは、子どもと老人という意味がこめられている。だから助けてと少女がさけぶのであった。
コミックソングのようにみえて、実はメッセージソングだったというわけだ。せっかくこの歌はヒットしたというのに、その翌年に残念ながら卜全さんは亡くなってしまうのであった。
それでもさいごに、こんな大きなインパクトを残していけたのは、幸せな芸能生活といえるのかもしれない。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。