KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

鼻持ちならないニンゲンの時計ばなし【松浦弥太郎】

 ニンゲン生きていくうえで、イヤミをかんじる同性というのは、どこにでもいる。またこのハナシになってしまうが、価値観がちがったうえで、なおかつウンチクなんぞをたれられたりすると、ほんとうに”けっ!”となる。

  松浦弥太郎という前の「暮らしの手帖」の編集長がいる。本屋で著書をみつけパラパラとながめてみたら、なかなか面白そうなので買ってみた。だがじっくり読むとその鼻持ちならない物言いに”けっ!”となってしまった。

 今、僕が使っているのは、自分の生まれ年につくられたロレックスのエクスプローラー。傷ついても落としても気にならないものです。
 しかし、「大人になったからロレックスを!」という気負いをもって手に入れたわけではありません、
 今は携帯電話もあるし、日本の場合は駅やお店など、あらゆるところに時計があふれています。日常の中で腕時計はだんだんと、重要な位置をしめなくなってきた気がします。
 こう考えると、焦って腕時計を選ばず、「持たない」という選択もあるのではないでしょうか。特に女性の場合、腕時計をしていない人が、逆に素敵に見えたりします。

集英社文庫「いつもの毎日。」より

 もはや住む世界がちがうのだろう。腕時計は仕事をするうえで欠かせないニンゲンなもので。肉体労働者で歩き回るし、目につくところにいつも時計があるわけではないのだ。

 とはいえど松浦にしてみたら、おまえみたいな人種のオトコは、はじめからアウトオブ眼中なんだよってハナシかもしれないが。でもこちとら文庫本とはいえ2冊買ったわけで、これぐらいはいわせてほしい。

 まあしかしこういう人種のちがうヒトの仕事論などは、ひじょうに勉強になることがある。ニンゲン共感できるヒトのハナシばかり読み聞きするだけではダメだということなのだろう。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。

 

 

いつもの毎日。―衣食住と仕事 (集英社文庫)

いつもの毎日。―衣食住と仕事 (集英社文庫)