映画監督・北野武の最大の功績。そのひとつはこのヒトを発掘したことではないだろうか。大げさだろうか。でもそんなことはないとおもう。埋もれていたヒトを見出すということは、自分が光るという、そのさらに上をいくことではないだろうか。
やっと少しショックから立ち直ってきた。最初に訃報を知ったのが、仕事中に偶然目にしたテレビのニュースだったのだが、そのときしばらくの間、動けなくなった。冗談ぬきで。ついこないだまで元気な姿をみせていたというのに。
漣さんは40過ぎにオーディションに合格し、「ソナチネ」という映画に出た。それまでは舞台を経て、ピンク映画やVシネマなどに出演という、日陰の道を歩んできたヒトであった。
そういう道を辿ったヒトだからだろうか。それからは商業映画やドラマだけでなく、学生やアマチュアの自主制作映画にまで出演した。役柄にしても善良なヒトから悪党まで多くの役柄を演じてきた。
でもどんな役柄でも多彩に演じてきたその根底には、このヒト独特の味があった。役に徹しなくてはいけないからクセはないけど、このヒトにしか出せないような心に残る味。「ソナチネ」から25年。もっと味わえるとおもったのに。
神様、まだおあずけには早すぎる。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。