”妊娠順番ルール” つまりは職場のなかで妊娠する順番が決められていて、それを破って妊娠しようものなら、上からえらく叱られるという。こういうルールが約15%の保育園で存在するという。
2月28日の毎日新聞に名古屋市在住の28才男性のこんな投書が掲載された。男性の妻が保育士を務める保育園では、結婚の時期と妊娠の順番を園長が決めていて、「掟」を破って予定外の妊娠をしたため、男性と妻は園長に謝罪したのだという。しかし、その後も園長は「どうして勝手にルールを破るのよ」と嫌みを言い続け、妻は職場で肩身の狭い思いをしている。そう明かした男性は、最後にこうつぶやく。
〈子どもを育てる職業がこんな環境であるこの国は子育て後進国です〉
45歳独身のおっさんにとっては、いま生まれてこようとする命にたいして感謝しかない。年金はこの子らが担ってくれるのだし。それはもちろん職場の仲間にたいしてもあてはまる。そういう気持ちがないとバチがあたるから。
僕の生業としている介護関係では、こういうルールについては聞いたことがないけれども、人手不足の職種ゆえ、妊娠したばあいの重圧感はかなりのものであろうと想像できる。現在がまさにそういう状況であったりもするので。
それにしても、
「本音を言えば、妊娠順番制はアリです。保育士という子供を預かる仕事に就いた以上、周囲を考慮して出産計画を立ててほしい。」
「保育士の責任問題として考えれば、このルールは仕方ありません」
などと子どもを預ける親がいってしまう世の中ってどうなのだろう。
自分の将来に夢が持てない仕事に、追い打ちをかけるように”責任を持て”といわれてしまうような職種に希望はないでしょうに。自分が幸せでなければ、まずヒトを幸せにすることはできないのだから。
”順番を守ればいい”?でもコウノトリさんは突然にやってくるもの。そして待てども待てどもなかなかやってこないものでもある。来てくださいってお願いして待っているヒトを早くしろとせかすのもどうなのってハナシだ。
となるとどうすべきなのか。これは子育てがひと段落ついたヒトが復帰しやすいように、また子育てしながらできる働き方を社会全般で支えていくことだ。保育の仕事も介護の仕事もそこは共通。
たとえばだ。ひとつの例として、僕の仕事なんかは施設の介護で3交替なのだが、小さい子どもがいて昼しかできませんけど働けますかというヒトがいたとする。来てくれるなら社会の一員として自分はいくらでも、その分夜勤はやってあげるから。
それで世の中に夢と希望がうまれるなら、喜んでやってみせる。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。