KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

井筒監督なんとかしてやれんのか

 【あらすじ】

とある通販番組でその姿をみかけ、そこはかとない違和感をおぼえた私であった。

 

 ある日のこと、テレビの通販番組をながめていたら、映画監督の井筒和幸氏が出演していた。ほかには麻木久仁子とピンクの電話のみやちゃんといった面々である。

 

 じつは井筒監督、通販好きで有名らしく、だいぶ前からこの手の番組に出演しているそうなのだが、なにか違和感を感じるのだ。あたりまえのことだけれども、紹介されている商品を褒めることしかしないのだ。

 

 井筒監督といえば、2000年代のはじめごろにテレビ朝日の「虎ノ門」という番組で、「こちとら自腹じゃ!」というコーナーをもっていた。映画館に自腹で映画を観にいって、つまらないと思った映画には歯に衣着せぬ物言いで批判をしていたものだ。

 

 同業者に対してあそこまで言えることがすごいし、同業者だからこそ説得力もあった。しかし本業の方は、エキストラの俳優さんが事故死され、その保証金を払わないといけないという不運に遭う。

 

 その支払いのために、虎ノ門もふくめたテレビ出演を、いくつもこなすようになったわけだが、それと比例するかのように、映画監督の仕事は寡作になっていった。映画をつくるにもお金がかかるので、しょうがない部分があるのかもしれない。

 

 だがいくらなんでも通販の番組というのは監督に似合わない。どこぞの炊飯器で炊いたごはんを、批判が一切許されない状況のなかで、暗黙の了解どおりにうまい!なんていう監督はみたくない。

 

 でも観てしまうのだ。いつか監督が”なめとんのか!”といって商品に頭突きする日が来そうな気がして。

 

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。

 

 

パッチギ!