発言は、大阪市鶴見区の市立茨田北(まったきた)中学校の寺井寿男校長(61)が2月29日朝の全校集会で述べたもの。「子どもを2人以上」のあとに「これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります」「子どもが生まれなくなると、日本の国がなくなってしまうからです」などと続けた。
「引くわ」「僕らに言われても」 校長のあの発言に生徒
それは言い過ぎだろうか。しかし報道という存在は四権といわれるぐらいに、権力の象徴でもある。そういう存在の代表格である朝日新聞が、顔写真と実名をこれでもかと晒し、なおかつこの見出し文だ。とことんまで追い詰めにかかっているようにしかみえない。
この校長の意見には賛同できない部分が多々あるけれども、記者の私情すら感じ取れる感情的な文章を、天下の朝日新聞が掲載してしまうのも何だかなあという気がしてしまう。朝日新聞がやらないといけないのは、個人攻撃ではなくて、こういう意見を踏まえて、では将来的にどのような社会にしていけばいいのかを書くべきではないのか。
こういう意見を権力が潰しにかかることに、なにか恐ろしさすら感じる。潰したところで結局は潰された側の憎悪が変なところにいって鬱屈するだけのような気がするのだ。それぐらいこの校長の意見というのは正直で、一つの真理を物語っている。
アメリカには、ポリティカリティ・コレクトという言葉がある。意味は差別的ではなく、偏見をふくまない表現という意味だ。むこうはとても厳しいらしい。そしてそういうものをとにかく抑えに抑えつけた結果、結局はドナルド・トランプが大統領選で支持を集める結果になっている。どこかでゆがむのだ。
フランスの哲学者、ヴォルテールの言葉に、「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」というのがあるが、マスコミはそうあるべきだと考えている。