KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

むしろアイツらに感謝しよう…悔しさを憎しみをありがとう……と…(清野とおる)

押切蓮介「ピコピコ少年SUPER」より


   


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  で紹介した「ピコピコ少年」の続編だね。少年だった主人公も、21歳になろうとしていたわけさ。そんなマンガ家として活動しはじめたときの話で「アウェイ少年」というのが掲載されているのさ。

 時は2002年。当時はまだ24時間ネットは定額制になっていなくて、23時から8時までのかけ放題サービス「テレホーダイ(懐かしい!)」があったころだね。当時
流行っていたのが、チャットルームだった。僕も一時期ハマっていたよ。

 で主人公も新人漫画家や漫画家志望者のあつまるチャットを楽しんでいたわけさ。それでメンバー同士でオフ会をやろうということになって、コミケにみんな集まったのね。コミケのあとは幹事の家で鍋をやることになっている。

 それで主人公は、友人の清野くんと2人で参加したわけ。参加者には女の子も結構いてさ、そりゃあ2人も楽しみにしていただろうよ。みんなで遊ぼうと重たいゲーム機なんかも持ってきているわけ。

 なのにコミケが終わって、さあ材料を買って幹事の家で鍋しようってときになって、2人は幹事の”ヒゲメガネ”に冷徹にもこう言われてしまうわけよ。


キミ達は帰ってくれ。
定員オーバーで部屋に人が入れないんだ。
とにかくそういうことだから今日のところは帰ってくれ。

 マンガのなかでは本当に定員オーバーだったのかは知る由もないけどね。それは本当で、実際に地方から出てきたヒトも多くいたから、2人は関東というのもあって外されたのかもしれないよ。だったらだったで少しぐらいは謝れよって話さ。

 もしくはそういうことに罪悪感が持てない、コミュニケーション障害なのかい?このヒゲメガネっていうのは。まあこういうヤツが多数派を形成したときの、少数派にたいする迫害ってまあえげつないからなあ。おおよそ見下した目をしてたのだろうよ。

 こういうヒゲメガネみたいなふだん異性と接することがないタイプっていうのは、いざ目の前に異性がいる機会に遭遇すると、平気で同性を排除するんだよね。おそらくコミケ中に2人の悪口言って根回しして、鍋やっているときも嘲笑してたのだろうよ。

 しかしよかったのは、2人とも漫画の世界で食えるようになって、こういうことを商業誌で発表できたということだよね。おそらくヒゲメガネはこうして描かれているってことは商業漫画の世界では生きていけなかったってことだろうし。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、俺は君の傍にいる。


 



ピコピコ少年SUPER

ピコピコ少年SUPER