双葉社刊「飯盛り侍」第一巻より
今回のグルメマンガは戦国時代が舞台。兜のかわりに鉄鍋をかぶった主人公の足軽・弥八が戦場を舞台に、現地調達で食材を手に入れて、人を活かすごちそうを作っていく。
なんてさらっと書いてしまったけど、戦国時代が舞台だから時代考証が必要で、どんな料理を登場させるか難しいと思うのだけれどもね。史実もからめてニンゲンの普遍のテーマである、食と人を活かすことはなにかということが深く掘り下げられている作品だとおもうよ。
戦国時代だからこそ”活きる”これは”生きる”にも通じるとおもうのだけれども、その弥八の命にたいする思いみたいなものが心を打つんだよね。足軽なんてほんと虫けらのように死んでいくんだよ。それでも”いかす”ためにおいしくて体にいい料理が出てくるのさ。
弥八は最初に九州の龍造寺氏に仕えるのだけど、これもなるほどとうなづかせる。龍造寺隆信って冷酷無比な武将で、晩年は肥満体になって6人がかりで担がれた輿に乗って戦場に行くんだけどさ。
その最期は戦場で置き去りにされてそれで討たれるのね。マンガのなかでも肥満を心配した弥八が薄味の料理を出すんだけど、それに怒って弥八を追い出しちゃうわけさ。
さもありなんという感じがするよね。
戦国時代が舞台とはいえ、現代にも通じるところは多々あるね。白いごはんがごちそうとして出てくるけど、そればかり食べて兵が脚気になるとかね。そういう普遍性もこのマンガを構成する重要な部分かな。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、俺は君の傍にいる。