KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

たいして儲けはないけどね。1日5000円売れれば良い方だ。子ども達が喜んでくれるのが一番。元気で長生きしなきゃ。(関根ヤヨコ)

テレビ東京「巷の噺」7月13日放送分より


  この番組は、すごいディープなところへ”普通のヒト”の話を聞きに行くんだよね。今回は足立区の新田というところでさ。この地域には鉄道駅はなくて、隅田川を挟んだ北区の王子神谷という駅から徒歩20分のところにあるんだ。

 足立区というのは、陸の孤島だね。まだまだ昔からあるお店がたくさん残っているのさ。今回のコトバの主も50年新田で駄菓子屋さんを営んでいるんだ。そしていまでもたくさんの子どもたちがやってくるのさ。

 ”看板メニュー”は「こぶつゆラーメン」1杯40円。インスタント麺に揚げ玉が入りそこに”こぶつゆスープ”を入れてできあがり。それを乱雑に置かれた駄菓子に囲まれて食べるわけさ。

 50年もやっているから、親子2代で通っているという子もいる街の駄菓子屋さん。足立区ならではという感じだ。俺が中学生のころまでは、こういうお店っていろんなところにあったなあ千葉に。うちの近所にもあって通っていたよ。

 やはりヤヨコさんのお店みたいに、看板なんて掲げていない。おじいちゃんが切り盛りしてた。ラーメンはやっていなかったけど、50円の駄菓子カップ麺はあってお湯をもらってよく食べていたよ。

 そしていよいよ店をたたむってなったときに、わざわざうちに来てくれていっぱい駄菓子をくれたんだ。ありがたかったなあ。中学時代ってイジメとかあってあまりいい思い出が実はないんだけど、だからこそ忘れられない、いい思い出さ。

 そりゃ子どもにとって不健康なのはわかっているさ。でもこういうお店の存在を否定しちゃダメだよ。だって子どもたち楽しそうなんだもん。彼ら彼女らの居場所なんだよここは。それを奪う方が結局は不健康なんじゃないかな。

 またこの83歳のヤヨコさんの居場所でもあるんだよね。こうして元気で笑っていられる秘訣がこの店なんだろうよ。子どもたちの喜ぶ顔を毎日見てさ。儲けは少ないだろうけど、見ていてうらやましいね。

 俺もこぶつゆラーメン食べてみたいけど、地元の子どもたちに悪いから行けないな。でももしこのお店で食べられたら、なんか”原点”に戻れそうな気がするんだ。俺が子どものころって今よりもずっと前向きだったからね。

今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、俺は君の傍にいる。


 


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