昭和64年1月7日「NHK臨時ニュース」より
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つい先日、藤森元宮内庁長官がお亡くなりになった。昭和の終わりを告げた人物だったから、なんか感慨深いものがあるよね。昭和元年生まれで昭一さん。君は知っているかい?昭和元年って一週間しかないんだぜ。
これまた先日、いまの天皇陛下が、天皇の位を生前に譲位するということが報道された。これから皇室典範の改正もふくめて議論されるとか言っていたけど、陛下がそうするって言ってるんだから、すぐにやれって話だよ。
皇室典範、皇室典範って金科玉条のようにいうけど、今の皇室典範なんて戦後作られたもんじゃない。そんなものより陛下のご意思のほうが尊重されるべきじゃないか。もう陛下も82歳なんだし。
TBSの皇室アルバムなんか観ているとわかるけど、けっこうくだらないイベントに陛下ってかり出されてるんだぜ。やってる方は陛下を引っ張りだして権威づけしたいんだろうけどさ。そういうのはもういいって話だろうよ。
平成の時代というのは、天皇陛下がニンゲンとして国民の悲しみに寄り添って下さった時代だよね。震災があると避難所にこられて、膝を折って相手の目線にあわせてくださった。さりげなく陛下はやっているけど、これはすごいことだよ。
もう天皇陛下は、おだやかにすごされて、我々をただ見守ってくれればそれでいい。そうしてもらわないと、下々の右や左の民はそのありがたさってものがわからないだろうよ。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、俺は君の傍にいる。