KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

ウスターソースに伝えたいこと

 スーパーの食品売り場に行って、調味料のコーナーに行くと必ずそれに遭遇する。それはソース売り場である。ソースの老舗といえば、ブルドッグソースなのであるが。いや、それは関東のニンゲンの考えであり、西の方ではメジャーでないらしいのだが。

 しかしまあ僕は関東のニンゲンなので、ブルドッグソースを基準としてソースは考えることにする。なんといってもサイズのバリエーションが豊富で、お弁当用まであるのだから、関東のニンゲンの生活に密着したソースといえるだろう。

 そんなソースだが、かならずといっていいほど、3種類のソースが陳列されている。それが、

ウスターソース
「中濃ソース」
「とんかつソース」

 なのである。これも地域によってまた違うようだが、関東においてはこういうことになっている。この3つの違いといえば、”粘度”なのである。濃厚度のちがいともいえるだろう。

 この3種類は値段がいっしょなのである。そこでひとつの疑問が生まれた。粘度があって濃厚ということは、中身が詰まっているということではないのか。なのになぜウスターソースととんかつソースは同じ値段なのか。これはウスターソースのぼったくりではないか。由々しき事態である。

 しかし一般の消費者は、そんなことは気にもとめない。むしろおかめ食堂的なところに行くと、醤油のとなりに鎮座するのは、同じような入れ物に入ったウスターソースなのである。なに代表格みたいな顔をしているのだ。

「だって他のだと差し口が目詰まりしちゃうでしょ?」

 そうウスターソースは、しずかに訴えている。たしかに。たしかにそうなのだが。というか差し”口”なのに、”目”詰まりとはこれいかに。

 もはやハナシの収拾がつかなくなってきた。だいたいウスターソースよ。君の粘度が低いから、冷ややっこに間違えてかけてしまうニンゲンが出てくるのだ。

 そうか。伝えたいことはこれだったのか。値段のハナシを差し置いてしまった。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。