KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

演出過剰なのはそっちだろ。 -ドラマ『ごちそうさん』批判を批判する。-

朝ドラ批判に一言二言、明智半平太が物申す。
NHK朝ドラ『ごちそうさん』過剰演出の声あり(NEWSポストセブン)

この批評を私は真っ向から否定する。



大ヒット作の後だけに、気の毒な部分もある。船出したばかりのNHKの朝ドラについて、作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
あまちゃん」とバトンタッチ、注目の中に始まったNHK朝ドラ「ごちそうさん10+ 件」。スタートは、「あまちゃん」の初回平均視聴率20.1%を超えた好発進、と報じられました。

 が、一週間ほど過ぎて評判を眺めてみると、ちょっと迷走気味かも。特に話題を集めるのが、ヒロイン・め以子の幼少期を演じる子役・豊嶋花ちゃん、6才。「第2の芦田愛菜」と評判が高い子役さんなのだそうですが、その評判は意外や意外。

「あのキャラは苦手」「何だかイラつく」「甲高い声がたえられない」「食い意地汚いキャラすぎる」と、不評の声があちこちで見受けられるのです。

 朝ドラの子役に対してこれほど「辛口」の注文がつくのは、ちょっと珍しい現象。それぐらい、インパクトある演技、ということでしょうか。

 では、多くの人が「苦手」「イライラする」と感じる点はどこに? 

 め以子はガツガツと食べる。時には手で食べる。立ったまま食べる。人に分け与えたり譲ったりしない。物を食べるたびに、目を細めて天を仰ぎ「おいしぃー」とオーバーアクション。「とにかく食べることが大好き」というキャラクターを制作側は際立たせたいのでしょう。過剰で極端な演技をさせられています。

あまちゃん」の刺激に慣れた視聴者の関心を、そのままいただこうというねらいかもしれません。けれども、その過剰なカリカチュア的演技が、「食い意地の張り方がちっとも可愛くない」「意地汚い」という批判へつながっているとしたら、皮肉なことです。

 これではあまりに子役がかわいそう。本人の気質や雰囲気云々というよりも、極端な脚本と演出による過剰感から、バッシングされてしまうのだとすれば……。

 たしかに、情報化社会の中で、年齢にそぐわず大人びたていたり、こまっしゃくれた子どもも存在しています。が、そうは言っても子どもは子ども。子どもらしい無邪気な面にスポットライトを当て、それを引き立たせたり目立たせれば、「かわいい」存在に見えてくるはず。幼さの中にはそうした素地が基本的に備わっているはずです。

 子役だけでありません。

 このドラマの登場人物の大人たちの役割も、何だかちょっと……。例えば、おいしいジャムを独り占めする孫を、厳しく叱らない祖母。他の子どもが座っている中で、立ったままガツガツ食べる我が子を、ニコニコ見ている両親。

 はた、と気付かされました。普段あまり意識していなかったけれど、日本人は幼い時から「食べることとしつけ」とが一体になった環境で育つのだなと。そういう歴史が長いこと続いてきたのだなと。

「箸をちゃんと持て」、「お行儀よく食べろ」、「口に入れたまましゃべるな」と、食卓で細々としたことをしつけられて育つ。それが当たり前のことになっている。何て「美徳」ある文化なのだ、と「ごちそうさん10+ 件」のおかげで再確認してしまいました。

 その「美徳」を無視しつつ展開するドラマに、「世の常識」が違和感を発信しているのだとすれば。「ごちそうさん10+ 件」は、ちっともおいしくない? まだ一週間で結論するのは早いのかもしれません。これから登場してくるヒロイン・杏さんに、期待をつなげましょう。



「あのキャラは苦手」

「何だかイラつく」

「甲高い声が耐えられない」

「食い意地汚いキャラすぎる」


もう散々である。
そもそもあちこちの不評の声が”どちどち”なのか気になるところだが。

”め以子はガツガツと食べる。時には手で食べる。立ったまま食べる。人に分け与えたり譲ったりしない。物を食べるたびに、目を細めて天を仰ぎ「おいしぃー」とオーバーアクション。「とにかく食べることが大好き」というキャラクターを制作側は際立たせたいのでしょう。過剰で極端な演技をさせられています。”

子供ってそういうもんじゃないだろうか。
自然だと思うのだがどうだろう。
主人公がこういうキャラのおかげで、僕にもちょうだいとも言わずじっと我慢しているように見える弟役の子がすごくいじらしくて可愛かったもの。
め以子といい、弟といい、源ちゃんといい、本当に演出とか抜きで素朴で子供らしい可愛い子たちだと私なんかは思ったが。

ちなみにこの文章の一番最後の文は、

”まだ一週間で結論するのは早いのかもしれません。これから登場してくるヒロイン・杏さんに、期待をつなげましょう。”

って書いてあるのだが取って付けた感が拭えない。
なぜか?

”「あまちゃん」の刺激に慣れた視聴者の関心を、そのままいただこうというねらいかもしれません。”

もう「ごちそうさん」というドラマに対して悪意丸出しなんだよなすでに。
最初から批判ありきで書いているんだったら、もうずけずけ言ってしまった方が清々しい。


”このドラマの登場人物の大人たちの役割も、何だかちょっと……。例えば、おいしいジャムを独り占めする孫を、厳しく叱らない祖母。他の子どもが座っている中で、立ったままガツガツ食べる我が子を、ニコニコ見ている両親。”

おばあちゃんは、作中でジャムを一口くれないかとめ以子に頼むんだけど、あげない。
そこで厳しく叱っても説得力に欠けないだろうか。
もらえないから怒ったの?って話だ。
それにこういうエピソードがあったからこそ、病に伏せるおばあちゃんの為に苺を必死で探しため以子のいじらしさが際立つんじゃないだろうか。
そして、こういう穏やかなおばあちゃんだからこそ、ご馳走さんの言葉の由来をめ以子に教える時に、観ている者が心動かされるのではないだろうか。

本当にね、子供は食い意地が張ってて当然。
子供らしくていいじゃないか。
わんぱくでもいい、たくましく育てばいいんだよ。
そんなのドラマの中でいちいち叱っていたらそれこそ過剰演出じゃないか。
子供達がオムライスをおいしそうに食べ、ごちそうさまを言う。
それが一番の美徳じゃないか。
私はそう思うがね。