KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

「熱烈!傑作ダンギ 国芳(くによし)」


パリの展覧会で人気を博し、日本でも老若男女をとりこにする浮世絵師…。それが歌川国芳! かっこよくて、面白くて、はっとする魅力の秘密を個性豊かなゲスト3人が探る!
型破りなブックデザインで知られる祖父江慎さんは、国芳の思わず手にとりたくなるインパクトに感動する。ダンサーで振付家の近藤良平さんは、思わずカラダを動かしたくなる強烈なリアリティーを浮世絵から感じる。東京国立博物館の松嶋雅人さんは、国芳が生きた江戸時代後期、その閉そく感を突破するエネルギーが、いまにも通じると考える。3人が選んだ傑作が続々登場!井浦新さんのあの役も国芳が手がかり?尽きない談議!



  歌川国芳は下積みの長い苦労人で、15歳で役者絵で有名な歌川豊国に弟子入りするがなかなか芽が出なかった。歌麿北斎、写楽とスター絵師が登場しあらゆる表現(役者絵や美人画など)が出尽くしてしまったかのような時代。国芳は個性を発揮する道をみつけられなかった。

 庶民のあいだでも政治腐敗や飢饉など、不安と閉塞感のあった時代。国芳水滸伝という、架空のヒーロー物に挑んだ。その負けずにすすんでいくヒーローに江戸の庶民は酔いしれた。作品は苦しい時代をなんとか打ち破ろうとした国芳の強い想いの表れでもあった。

 庶民が楽しむための芸術であり、世界でも稀有なものであった。複製美術の喜び。