KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

唸れウエスタンラリアート!【スタン・ハンセン】

 ハンセンのばあい、キャッチフレーズは「不沈艦」よりも「ブレーキの壊れたダンプカー」のほうがしっくりとくる。近眼がゆえにものすごい勢いでリングを猪突猛進する姿は、まさにブレーキが壊れたダンプカーそのものだった。

 

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 子どもの時分はハンセンがどうも好きになれなかった。いつも反則を使ってザ・ファンクスをとことんいたぶっていたからだ。それだけのパワーがあれば、反則しなくても勝負できるじゃないかというおもいがあったのだ。

 いま考えると、あれは年齢の衰えがあるファンクスの名誉をなるべく傷つけない方法だったのだ。力と力のぶつかり合いで負かしてしまったら、ファンクスの立場がなくなってしまうわけだから。

 しかしそんなハンセンも、歳を重ねてファンクスと同じような道をたどることになる。日本人レスラーとタッグを組んで戦うようになったのだ。やはりハンセンほどのレスラーでも衰えるときはやってくるのだった。

 ハンセンの奥さんは日本人で、いまはふたりでテキサスに住んでいる。いつだったかテレビで観たのだが、奥さんは看護師で、ハンセンは専業主夫をやっているのだとか。歴戦のダメージで、働けない体になってしまったのだ。

 みるとみるも無残な体になっていた。手術の痕が痛々しくて。ファンクスだけでなく、自分の体もいたぶっていたのだ。それでもあのでかい図体で、器用に楽しそうに家事をこなしていたのが印象的だった。

 今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。