KOTOBASM

頭の中にある思想は言葉ではない。映像でもない。いうなれば《もやもや》である。その《もやもや》を手先を使って記録することではじめて言葉になる。

チョコレートを万引きして見つかり自殺した中国の13歳の少女

2015年12月28日、中国甘粛省金昌永昌県で中1少女が高層ビルから身を投げた。自殺の原因は些細な理由だった。

甘粛省中1少女の投身自殺とその抗議デモ
 日本国内では年末から年始にかけても色んなニュースの波がやってきて、それに揉まれているあいだにこんな事件があったことすら知らなかった。ましてやこの事件をきっかけに、中国では大規模なデモが起きていたことも知らなかった。

 事件当日昼頃、少女は近くのスーパーからチョコレート等を衣服に隠して店を出ようとした。スーパーの店主がそれを見つけ、公衆の面前で少女を厳しく咎め、その後両親を呼び約3000円を弁償金として請求した。払わないと警察につき出すと言って。親は懸命になってお金をかき集めた。

 その日は少女に昼飯を食べなさいということで、父親が小銭をテーブルに置いていったのだけれども、父親はなにも食べずにポップコーン売りの仕事をしていた。なので少女はそのお金でうどんを買って父親に食べさせた。 

 けどやはりお腹が空いてしまったのだろう。魔が差してチョコレートなどを万引きしてしまった。両親が自分のやった過ちのために叱られている。少女はどれだけ辛かったであろう。自殺までしなくてもというヒトもいるだろう。でも多感な時期の少女にとっては、きっと死ぬほど辛かったのだ。自分の親に恥をかかせてしまって。

 この事件について、おかしいと思うことが3つある。まず1つは、なんで公衆の面前で店は少女を厳しく咎めたのか。日本だったら別室に連れて行く。本来それが未成年に対するおとなの対応ではないだろうか。

 2つ目になぜ3000円もの大金を請求したのかということだ。チョコレートの値段の約10倍だという。払わないと警察につき出すと言ったことも合わせてれば恐喝のようなものではないか。

 そして最後。3000円がチョコレートの値段の10倍ということは、チョコレート1枚約300円ということになる。なんでスーパーで売られているようなチョコレートがそんなに高いのか。おそらくは貧富の差が激しい中国の、”富”の側のニンゲンが行くようなお店なのだろう。

  少女は不条理ともいえる貧富の差が激しい社会で生きていたなかで、チョコレートぐらいなら失敬しても・・・という気持ちはあったのであろう。万引きは犯罪なのはまちがいない。それでもそういう気持ちになってしまったのは理解できる。

 中国も大国だというのなら、富の再分配はしっかりやるべきじゃないか。 経済が発展しているのは、今の金持ちが努力した結果だけではない。たくさんのヒトの我慢と犠牲によって成り立っているのだ。この事件は尊い命が失われて明るみになったが、きっとこの手の話はたくさんあるはずだ。