JRはそのむかし、日本国有鉄道という名前であった。昭和62年に民営化されていまに至る。”国有”というだけあって、いまでは信じられないようなことが多々あった。
あのころはとにかく駅員の態度が横柄であった。サービス精神というものが、まったくなかったのだ。それがいまでは、車いすの乗客をわざわざスロープを出して乗せてあげるほどの変わりようである。
駅の改札は駅員が立って、切符に鋏を入れていた。ストライキでよく電車が止まった。ホームや社内には灰皿があった。それが平成のあいだに、いろいろと変貌をとげていった。それでもひとつ。ずっと変わらずにあるものをみつけた。
それが駅のホームの柱にあるこのピクトグラムだ。実物はみたことがないのだが、おそらくはホームの上から線路に落ちたものを拾える、マジックハンドみたいなものなのであろう。その収納庫だ。
正確には駅員という字の上に、駅係員というシールが貼ってあるのだが。そういえば最近はこういう帽子をかぶった女の子も見かけなくなったが。これだけはどうか時代と合わないといって帰ることはしないでほしいと願う。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸がつづくかぎり、僕は君のそばにいる。