突然ではあるが、日本テレビのいく道は”王道”である。日本初の民放テレビ局であるし、”日本”テレビと名乗っている。そういう意味では王道をいかねばならないという宿命を持っている。
それを象徴するものが、日本テレビのスポーツ行進曲である。あの黛敏郎が作曲したスポーツ番組の荘厳なるテーマソングは、巨人戦の野球中継やプロレス中継で流れていた。
そしてプロレス中継のとき、このヒトの入場曲がこの日本テレビのスポーツ行進曲であった。そう、ジャイアント馬場さんである。ジャイアンツと馬場さん。この二つの”巨人”の存在が、日本テレビがすすむ王道の象徴でもあったのだ。
僕はギリギリでトップレスラーである馬場さんの姿を、リアルタイムで観られた世代だとおもう。でもトップレスラーであり、一流の興行師でもありながら、馬場さんは笑いものにもされてきた。
ギャグに走る子どもというのは、けっこう残酷なところがあって、馬場さんをバカにするようなモノマネをやっていた。だいたいだ。馬場さんが試合中に”アッポー”なんていっているのを聞いたことが、ほんとうにあっただろうか。
それでも馬場さんは”見世物小屋の化け物”を演じつづけてきた。バラエティ番組やテレビコマーシャルに出演しては、ユーモラスな姿をみせてきた。そのおかげもあって、地方の人たちも夢をもって、会場に集まってきたのだ。
あのジャイアント馬場を一目観ようと。子どもやお年寄りからの知名度は最強だった。
今日のところはこれまで。ごきげんよう。この呼吸が続く限り、僕は君の傍にいる。